うちは学習塾ではないんです。

我々は「教育学習塾」と名乗っております。

うちの塾の生徒は、定期テストでは毎回、地域の学校の学年1位やトップ10をたくさん獲得します。過去に500点満点を取った生徒は2人、平均点以下の生徒が学年1位を取るまでになったこともあります。

我々は長年、塾を経営する中で大事にしてきたことがあります。

もちろん学習塾ですから、生徒の成績を上げること、志望校合格のために全力を尽くしております。しかし、生徒の成績が上がって志望校へ進学できたら、我々の仕事は終わりなのでしょうか。生徒が第一志望校へ進学できたとしても、そこで赤点を取ったなどと聞くととても虚しくなります。卒業生が有名大学へ進学しても、目標がなくなった途端に無気力になってしまったりしたら、塾としてとても無力感を感じます。

やはり、塾在籍時代はもちろん、卒業しても生徒がイキイキと輝いていて欲しいんです。そのために必要なことは、ただの成績アップだけではありません。成績アップや受験に挑むその過程が大事で、さらに、その先が大事なのです。成績アップや志望校合格は、目的というより手段です。大切な生徒たちには、日々の勉強や受験を通して、この困難な時代を生きる力を身につけてほしいのです。

 

子どもたちが生きる力を身に着けていくのには、受験は格好の教材です。目標を掲げて、それに向けて一生懸命努力し、時には誘惑に負けそうになり、軌道修正したり、自己を奮い立たせたり、成功したり失敗したり、逃げ出したくなったりすることもあるけど、思い留まって、もう一度がむしゃらに受験に挑む。そうやって志望校合格を勝ち取っていく。これって、人生そのものかな、と思うんです。

「勉強や受験を通して、この困難な時代を生きる力を身につけてほしい」こういったことを塾が堂々と掲げることで、私達はただの学習塾ではなく、教育学習塾を名乗るようになりました。

 

世の中は混沌としております。コロナ禍は当然ですが、それ以前も常にこの世の中を生き抜くのは簡単ではありませんでした。

比較的環境が恵まれていると言われるこの日本でさえ、年間自殺者が2万人以上もいるんです。この数字は最近の世界での戦争(紛争)の死者数に匹敵するほどの数になっています。それが毎年です。

我々大人は、この戦場ともいえる社会に大切な子を送り出すわけです。武器も持たずに送り出せましょうか。もちろん武器といっても、この特殊な戦場では、銃や槍では何の役にも立ちません。この社会で役に立つ強力な武器になるのが、自分で力強く生き抜いていく力。

我々はそれを「自学自伸」の力と呼んでいます。

世間で言われる「自学」、というよりもっと深い意味で、人生をより良く生きるのに必要な様々なことを含めて「自学自伸」と表現しています。文字通り、自分で学び、自分で伸びる。

 

次回へつづく

この記事を書いた人

川上 大樹 HIRO先生